日記

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庵野秀明監督による「閉塞感からの解放」「自分を認めるということ」の説明 文字起こし

林原めぐみ Tokyo Boggie Night 19996年放送4月28日放送

林原めぐみのTokyo Boogie Night ゲスト 庵野秀明 211回 1996年4月28日放送 - YouTube

4分50秒ごろ10分5秒ごろまで文字起こし

 

林原:私の選んだはがきを一枚 ほとんど全部庵野さんには読んでいただいて 庵野さんが選んだハガキなんですけど 私が庵野さんに見せてないハガキ えーこれ本名OKなんですよ ####くんなんですが どうもこんばんは。この間の放送聞いてみて、僕は何故アニメを必要とするようになったかを考えてみました。

小4の時、よく先生に叱られていた僕は、少しでも叱られまいとするようになり、なぜ怒られたのか、何が悪いのかを考えるようになりました。または嫌いな人を少しでも良く考えようとし、悪いことを悪いと決めつけず、なぜそんなことをしたのかなど、多くのことを考えるようになりました。

そのうち、自分が人に嫌なことや迷惑をかけることを恐れるようになってしまいました。その頃からものすごく緊張したり、心配したりするようになったのです。そんな訳で、段々自分を出すのが怖くなり、人と話すことも少なくなりました。

しかしこのままではいけないと思っていたとき、ぼくとは全く逆の性格を持つ人に出会ったのです。それがたまたまアニメの主役だったのです。それは僕に自由を教えてくれました。人生に逆襲されちゃうよ。一度しかない人生だもの他人に振り回されないで、自分の好きなことをやってみるエトセトラなどなど、これらの言葉はいまでも僕の支えになっているセリフです。

僕はこういった言葉や主人公の(録音とび)自部自身にかけていたプレッシャーに気づきました。だから僕にとってのアニメは、決して逃げ込む場だけではなく、現実の世界で、完璧だけを目指そうとしていた僕、ロボットになりかけていた僕に、じゃあ君はだれなの?と問いかけてくれたものだったのだと思います。

というハガキなんですけどね。

庵野:うん

林原:どうでしょう

庵野:いや、良いと思いますよ

林原:うーーん なるほどねぇーという感じではありませんか あのー その逃げ込んでることに気づいたりとか あー これに頼ってる これに あのー 甘えてるってゆうとこにも気づいた時点で片足 半分体出てんですよね

庵野:うん だから閉塞感からは これでもう出てんすよ ある程度 開かれてんだよね あとはそこから外に出るかどうかっていうのは 別の問題なんだけど

林原:そうだね

庵野:少なくともドアは開いてるってのは確認できるわけでしょ

林原:そうですね

庵野:でもドアが無かったらどっから出て行っていいかわかんないんですよ そうゆう状況だけは出来うる限り避けといたほうが良い

林原:そうだね

庵野:だから どっかドアがあれば そっから出てくことは可能なんだから でも まぁ 出てったら ねぇ 外は崖かもしんないし 空かもしんないし すごく気持ちの良い所かもしんないけど それはその人が外に出てみないとわかんないわけでしょ 出る前にあれこれイヤなこと想像して 出ないっていうのは

林原:絶対あの外は崖なんだ 崖に違いないって思って出ないよりは

庵野:思い込むのだけはやめといた方が良いよっていうね

林原:まぁそうだよねー

庵野:まぁ出てみてひどい目にあうのもそれもまた良しなんですよ 人生だからね

林原:うんうん そうなのー

庵野:それを恐れていたら 何も出来ないということなの

林原:うん でね 崖だったんだけど 痛い痛い 崖崖 痛いと思ってドンって降りて 崖から降りたら すんごい気持ちの良いとこかもしれないわけよ

庵野:そうそう 下にはクッションが広がってるかもしんないし 途中で木の枝があるかもしんない

林原:うんうん だから痛いから怖いから そこは なんか絶対つらいに決まっているっていう風に決めて あのー 出ないでいるよりは ちょっと痛い思いも みんなするじゃないですか そんなこと

庵野:ねぇ

林原:ねぇ それで初めて 人の痛いところもわかるわけだし だからそうゆうようなことです

庵野:まぁ針の山かもしんないけどね(笑い)

林原:またそういっていじめる(笑い) いじめるって(声色を変えて)て感じですかね まぁそんなとこですねぇ

まぁじゃあ ラスト一枚です。$$$$さんですね。この前監督が言っていたことは、私にとっては当たっていたと思う。最近思うのですが、私は他人に合わせることが当たり前になってきているようなのです。あの人が機嫌を損ねないようにしたり、その人が赤だと言うものを赤だと言ったり、それで顔色を気にしつつ、心のどこかで嫌われたくないと思っているようです。

直した方が良いとは思うんだけど、どんどん自分が嫌になる。こうゆう時、めぐ姉や監督の場合はどうしますか。このことで自分も現実から逃げているのかもしれません。お願いします。意見を聞かせてください。ということですけどねぇ。

庵野:私もそうなんですけど 結構 

林原:あっそうですか この監督がそうだっつーんだから 皆さん自信もってください

庵野:いやだってー 罵詈雑言のハガキが来て 俺が全然いたんでないと思う?ってやつなんですよ すっげー傷ついてますよ もちろん でもそうゆうのはね

林原:庵野監督なにごとじゃーってゆうようなハガキでも傷ついてるんですよね

庵野:いやー 傷ついてます もちろん

林原:うんうん 

庵野:でも そうゆうのは なんてゆうのかな 恐れててもしょうがないんだけどね

でもそうゆうのが嫌なのは 本当によくわかるんすよ

林原:嫌われたくない んですねー

庵野:でも嫌われたくないと思ってると 誰からも好かれないよっていうことなんだよね

林原:うわぁー 深い それそうだわ そうだね

庵野:こう思ってる限りは好かれないんですよ だからなんかねぇ 自分の中にねぇ 何か必ず一つは良いものがあるはずだから それを見つけて それをアピールするようにしていくのが

林原:それをかわいがってあげるのよね

庵野:そうそうそう 自分の中でかわいがって 何か あっいとしい って部分が 誰か 何かあるはずなんですよ

林原:あるあるある

庵野:それを見つけて そっからなんかスタート地点に立つのが まぁ良いんじゃないかなってのが これが私の人生論ですけどね 僕の場合はそれがアニメーションだったんですけど

林原:あーなるほどね 周りにさ 周りからどう見られるか 周り周り周りってことよりも まず自分を探してみると良いですね

庵野:万人から愛されるってのはまずないですね

林原:それはそうですよ

庵野:うん

林原:うんうん

庵野:でも万人から嫌われるっていうことも無いんですよ

林原:まぁー 良いこというじゃないですか 優しいですねこの人結構ね (笑い)

庵野:俺にもまだ人の心が(笑い)

林原:(笑い) なんだか素敵な

庵野:そうゆうことっす

林原:そうゆうことっす みなさんちょっとは思うところはありましたでしょうか